久々の外出らしい外出
桜の花が咲いたも散ったも気がつかないような生活の中にあって、久々の外泊旅行を決行。
最後に旅行をしたのが、コ禍前の新婚旅行になるので実に何年ぶりか。
そのときに「宿に滞在して過ごすだけ」の楽しさ・贅沢さに味をしめてしまい、また時勢的な意味でもあちこち行かずゆっくりするのがよかろうと、滞在したまま何かを楽しめる宿を選んだ。
以前から気になっていた『箱根本箱』。1万2千冊の蔵書が壁に部屋にあちこちの棚にそこらじゅうに散りばめられているブックホテル。
気に入った本は部屋に持ち込めるし、そのまま購入することもできる。
天井まで届く本棚に囲まれたプライベートな空間、というのはビブリオンなら誰でも夢見るものかもしれないが、それに近い体験を味わえる気がする。
一部の本棚の裏側には隠れ部屋的にミニ読書スペースが設けられていたりと、なかなかツボを押さえてくる。
さまざまなジャンルを網羅した上で1万2千冊というと、ものすごい多いかというとどうしても広く浅くにはなってしまい、特に自分の専門分野や興味のある分野のタイトルを期待するとちょっと……となってしまうかもしれない。
一方で、そうでないジャンルの棚からは何かしらのセレンディピディな出会いがあるのでは、とも感じた。
半プライベートな空間が醸す雰囲気からか、そのような書籍類も書店とは違い他人行儀な顔をしておらず、新たなジャンルに触れるハードルが低くなっていそうだなとも。
私連れ合いもインドアな過ごし方が苦痛ではなくむしろ好きなので、2泊の滞在ながらあともうちょっと……と後ろ髪を引かれつつ3日目の午後には小田急に揺られて束の間の非日常は終了。